相続やマイホームの建て替えで所有している不動産を売却しようと検討している方では、不動産売却において仲介手数料が発生することをご存知のない方も多いのではないでしょうか。
不動産の購入時に仲介手数料が発生することを把握していたけど、不動産売却にも仲介手数料が発生するとは知らなかった、と方も多数おられます。
不動産の購入時と同様、不動産売却においても仲介手数料が発生しあらかじめ上限が設けられていますが、所有期間といった売却方法を工夫することで仲介手数料を大幅に抑えることができます。
そこで、本記事では不動産売却において発生する仲介手数料の上限や計算方法を紹介していきます。
不動産売却の手数料とは
所有している土地や建物といった不動産を自分で売却せず、不動産会社に依頼して売却する場合は仲介手数料が発生します。
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売買契約が成立するまでは費用が発生せず、不動産の売買契約が成立した場合に成果報酬として仲介手数料が必要になります。
また、売買契約において発生する仲介手数料は上限が定められており、売却希望者へのアドバイスや購入希望者への案内の他に次のような業務が仲介手数料として含まれています。
- 不動産売却に関する売却希望者へのアドバイス
- チラシ作成・不動産情報サイトへの広告掲載料
- 購入希望者への物件案内活動
- 不動産売却時の交渉や契約手続き
また、不動産売却時に発生する手数料には仲介手数料の他に税金がかかります。
登録免許税
印紙税
譲渡所得税
不動産を売却し購入時よりも高く売れ利益が発生した場合は、譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税には住民税と所得税がかかり、所有期間によって税率が倍近く変動するため事前にきちんと把握しいつ売るのか注意することが大切です。
所有していた戸建て住宅を3,000円で売却した場合、所有期間が4年であれば約800万円の譲渡所得税が発生しますが、5年を超えた6年以上であれば譲渡所得税を約400万円に抑えることができます。
登録免許税
不動産のローンを組んでいる方は抵当権を抹消するための登録免許税も必要になります。
抵当権の抹消費用は不動産1個につき1,000円かかるため土地・建物を売却する際は合計2,000円が抵当権抹消費用として発生します。

また、抵当権がついている物件を売却することはできるの?と思われるかもしれませんが、抵当権がついている物件でも売却することができ抵当権がついていることで相続税評価額が下がることもありません。
印紙税
印紙税とは契約書に貼る印紙にかかる費用のことです。
所有している不動産の売却金額によって変化しますが、一般的な不動産売却では6万円以下で済むことが多いです。
記載金額 | 印紙代 |
---|---|
1万円以上~50万円以下の場合 | 200円 |
50万円超~100万円以下の場合 | 500円 |
100万円超~500万円以下の場合 | 1千円 |
500万円超~1千万円以下の場合 | 5千円 |
1千万円超~5千万円以下の場合 | 1万円 |
5千万円超~1億円以下の場合 | 3万円 |
1億円超~5億円以下の場合 | 6万円 |
5億円超~10億円以下の場合 | 16万円 |
10億円超~50億円以下の場合 | 32万円 |
10億円を超える場合 | 48万円 |
不動産売却には仲介手数料がかかる?
不動産を購入、売却する際に不動産会社を介して契約した場合は仲介手数料が発生します。
個人で買い手を見つけ契約をした場合は仲介手数料が発生しませんが、個人間の契約ではトラブルが発生する可能性が高いです。

不動産売却手数料の相場とは
先ほど紹介したように不動産売却において仲介手数料には上限が定められています。
所有している土地や家の売却価格によって不動産売却時の仲介手数料の上限が変動しますが、一般的に仲介手数料の上限に設定されていることが多いです。
不動産売却にかかる仲介手数は、不動産会社への報酬だけでなくチラシの作成・ウェブへの掲載料といった宣伝広告費にも用いられるため交渉で仲介手数料を削りすぎないようにしましょう。
不動産売却で発生する手数料の計算方法
不動産売却時に発生する仲介手数料は上限が定められていることをお伝えしました。
実際に不動産売却を行い際、売却手数料の上限はどのくらいなのか把握しておくことで不動売却での収益を正確に計算することができます。
売買取引額 | 仲介手数料の上限 |
200万円を以下の金額の場合 | 売買金額×5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額の場合 | 売買金額×4%+消費税 |
400万円を超えた金額の場合 | 売買金額×3%+消費税 |

不動産売却で発生する仲介手数料の早見一覧表
売却取引額 | 総額仲介手数料(税込) |
100万円 | 55,000円 |
300万円 | 154,000円 |
500万円 | 231,000円 |
1000万円 | 396,000円 |
1500万円 | 561,000円 |
2000万円 | 726,000円 |
2500万円 | 891,000円 |
3000万円 | 1,056,000円 |
3500万円 | 1,221,000円 |
4000万円 | 1,386,000円 |
4500万円 | 1,551,000円 |
5000万円 | 1,716,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
不動産売却で仲介手数料が無料場合の仕組みとは
不動産売却を検討している方にとって、仲介会社をつけて売買をしようと検討しているのであれば仲介手数料が発生すると思われると思います。
先ほど紹介したように、仲介手数料は不動産売買活動に必要な広告宣伝費や不動産情報の掲載料、購入希望者の案内にかかった人件費などが含まれています。
不動産会社の中には不動産売却でかかる仲介手数料が無料な業者が存在します。
不動産売買を仲介する契約方法の中に、集客力のある不動産会社であれば売主と買主双方の依頼を受けることがあります。
売主と買主双方を抱えて取引する方法を両手取引といい、両手取引を行っている不動産会社は仲介手数料を通常の2倍受け取ることができます。
しかし、魅力的な物件であることや不動産会社が抱えている売却用物件に数が限られている場合、売却用の不動産を増やすために売主からの仲介手数料を無料にしている場合があります。
不動産売却で発生する手数料を値引きするには
不動産売却で発生する仲介手数料を値引きすることは可能です。
しかし、仲介手数料を値引きするタイミングや交渉方法、値下げ額に注意して行わないと値引きが全くできない可能性や値引きをしたことにより売れ残ってしまう可能性があります。
不動産売却で発生する仲介手数料はを値引くには
不動産売却で発生する仲介手数料は契約する不動産会社によって異なりますが、売買契約の成約時と不動産の引渡し時の2回のタイミングで支払うことが一般的です。
仲介手数料を値引くためには、売買契約が成立する前野タイミングに行い次のようなポイントを押さえておく必要があります。
- 専属専任契約もしくは専任媒介契約にする
- 中小企業の不動産会社と契約を結ぶ
- 他社不動産会社の査定報告書を用意する
- 値下げ交渉を行うタイミングは媒介契約を結ぶ前にする
仲介手数料の値引き交渉は不動産会社と媒介契約を結ぶ前のタイミングで行うと良いでしょう。
買取希望のお客様が見つかってから値引き交渉を行うと、不動産会社の方から後出しのような印象を持たれることもあり値引きどころか今後の関係に悪影響が生じることがあります。

不動産売却で発生する仲介手数料を値引きする際の注意点
不動産売却で発生する手数料は、不動産会社の活動に対する報酬だけでなく、売買に関する売却希望者へのアドバイス費用や不動産情報サイトへの掲載料が含まれています。
【不動産売却で発生する手数料の使用用途】
- 不動産売却に関する売却希望者へのアドバイス
- チラシ作成・不動産情報サイトへの広告掲載料
- 購入希望者への物件案内活動
- 不動産売却時の交渉や契約手続き
不動産売却で発生する仲介手数料を値引きすぎるとその分広告費として充てられる費用が減ってしまい、魅力的な物件であったとしても売れ残ってしまう可能性があります。
不動産売却で発生する手数料を下げるためには
マイホームの建て替えや親からの相続によって引き継いだが自分では家を所有しているため使用しない、など不動産を売却するにはさまざまな理由があると思います。
マイホームの建て替えや相続によって引き継いだ不動産の売却は所有期間によって発生する仲介手数料を抑えることができます。
マイホームの建て替えで不動産売却をする時に気をつけること
しかし、相続ではなくマイホームや投資用で購入したマンションの売却をする場合は所有期間が5年を超え売却しないと譲渡所得税が高くなります。
区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 |
短期譲渡 | 5年以下 | 30.36% | 9% |
長期譲渡 | 5年超 | 15.315% | 5% |
上記のように、建物や土地の所有している長さによって税率が変動し、短期譲渡では39.36%、長期譲渡では20.315%かかります。
例えば、2022年の7月7日に取得した不動産では、2023年の1月1日が基準日となり、2028年の1月が所有期間5年としてカウントされます。
相続した不動産売却をする時に気をつけること
親や親族から相続で引き継いだ不動産を売却する際は、3年10ヶ月以内に売却することで税制上の特例を受けられます。
相続によって引き継いだ不動産の売却時に適用できる可能性がある特例は2種類あります。
特例の種類 | 特徴 |
---|---|
相続財産の取得費加算の特例 | 支払った相続税の一部を取得費に加算することができる。 |
相続空き家の3,000万円特別控除 | 引き継ぐ前に所有していた被相続人の居住用不動産を売却した場合は最大3,000万円まで控除を受けられる。 |
特例を受けられると相続税の一部を不動産の取得費として含むことができるため、譲渡所得税の節税ができます。
【相続によって引き継いだ不動産売却時に特例を受けるための要件】
- 相続の開始日翌日から3年10ヶ月以内に不動産を譲渡している
- 相続もしくは遺贈による財産を取得した人物である
- 財産を受け取った人物に対して相続税が発生している
特に最初の開始日翌日から期限が迫っていることを忘れず、できるだけ速やかに売却活動を行うようにしましょう。
よくある質問
不動産売却の手数料の相場はどのくらいですか?
不動産売却で発生する手数料の相場は上限になっていることが多いです。
不動産売却で発生する手数料の計算方法は?
不動産売却で発生する仲介手数料は売却金額によって変動し、200万円以下の場合は売買金額に5%、200万円〜400万円の場合は売買金額に4%、400万円を超えた場合は売買金額に対して3%がかかります。
不動産売却で発生する手数料を値引きする際の注意点とは?
不動産売却時に発生する仲介手数料には、宣伝広告費や購入希望者に関する費用が含まれているため仲介手数料を値下げしすぎると物件が売れ残ってしまう可能性があります。売れ残り状態が長期化すると売却不動産を大幅に値下げする必要があるため、仲介手数料の値下げ額には気を使うようにしましょう。
不動産売却で発生する仲介手数料を値引きするコツは?
不動産売却で発生する仲介手数料を値引きするために、値引きのタイミングと不動産会社と結ぶ媒介契約の方法に注目するようにしましょう。不動産売却の値引きを行うタイミングは後でトラブルが起きないように値引き交渉は媒介契約を結ぶ前に行い、媒介契約は専属専任契約か専任媒介契約を結ぶようにしましょう。
不動産売却で発生する仲介手数料は経費として計上できる?
不動産売却で発生する仲介手数料は経費として計上できます。また、仲介手数料の他に不動産取得時にかかる不動産取得税や印紙税、登録免許税も経費として計上できます。経費として計上するためには不動産取得時に発生した領収書を保管しておく必要があるためきちんと保管しておくようにしましょう。
不動産を売ったときの税金はどのくらいですか?
例えば、5000万円の不動産を売却した場合は170万円が仲介手数料として発生します。
不動産売却の仲介手数料は節約できますか?
不動産売却での仲介手数料は所有期間によっては節約することができます。例えば投資用物件として購入していた不動産の売却では所有期間が5年を超えるか超えないかによって変化し、5年以下の場合は譲渡所得税が約40%かかり、5年を超えた場合では譲渡所得税が約20%です。さらに、相続によって引き継いだ不動産を売却する際は引き継いだ日から3年10ヶ月以内に新たに譲渡することで税制上の特例を受けられるメリットがあります。
まとめ
ここまで、不動産売却の手数料の相場や計算方法、売却手数料は経費として計上できるのか紹介してきました、
不動産売却で発生する仲介手数料は売却金額によって上限が変化しますが、一般的に上限に設定されていることが多いです。
不動産売却の仲介手数料は譲渡費用に該当するため、経費として計上できます。
譲渡費用を経費として計上するために領収書を保管しながら、所有している不動産の売却益から一部を取得費に含み売却によってトータルで獲得できる収益を上げるように工夫できます。
