土地を売ってお金にしようと考えているけど、できるだけ多く利益が残るように不動産会社を選びたい、高く売れるタイミングがあるならその時に売りたいと考えている方が多いと思います。
土地売却をするときは複数の不動産会社に見積もりをしてもらい相場よりも高い金額で売ることが利益最大化のためのポイントです。
あまり知られていませんが、土地を売るときはどのように入手したのか、所有期間はどのくらいか?によって受けられる税制上の優遇措置が異なります。
そこで本記事では、土地を高く売るための不動産会社の選び方や高く売れるタイミング、税制上の優遇措置について詳しく紹介していきます。

土地売却をする時の戦略
土地を所有していて使わないためできるだけ高く売りたいと考えた場合、売却費用をいかに抑えられるかと高く買ってくれる買い手を見つけることの2択です。
所有していた土地を売却する際は、マイホームの建て替えや投資物件の売却、相続した不動産を売却するために土地も一緒に売却しようと検討されている方も多いです。
車を売ることは比較的身近ですが、不動産を売却する方は身近に多くないため誰に相談したらいいんだろう?と疑問を抱えている方も多いです。
土地を売りたいと思ったらどこに相談したらいい?
土地売却について分からないことがあり、誰に相談したらいいか分からない!という方もおられると思います。
土地や家といった不動産について分からないことは不動産会社に相談したらいいのでは?と思われるかもしれませんが、不動産会社は土地売却の流れや売却方法、活用方法の専門家です。
もちろん不動産会社でも税金や借金返済に関する相談も対応してもらえますが、専門的な知識が必要な内容では期待していた回答をもらえないこともあります。
土地売却に関する疑問を解消しスムーズに解決するため、相談内容に分けどの専門家に相談するか決めるようにしましょう。
相談する専門家 | 相談内容 |
土地売却に関する税金関係 | 税理士 |
土地売却に関する法律関係 | 弁護士 |
借金が絡む土地売却の相談 | 司法書士 |
土地売却に関する境界について | 不動産鑑定士 |
土地売却の価格・方法・活用方法 | 不動産会社 |
まずは土地をどのように入手したか確認する
土地をどのように入手したかによって受けられる税の優遇措置が異なります。
- マイホームの建て替えで売却する
- 投資用物件として自分で購入した
- 両親から引き継いだ手に入れた
マイホームの建て替えで売却する
マイホームの建て替えで不動産を売却する場合は「特定の居住用財産の買い替え特例」、通称買い替え特例があり、課税を繰り延べできます。
買い替え特例はマイホームの建て替え時に誰でも利用できるわけではなく、いくつか条件があります。
- 自分自身が住んでいた
- 住まなくなり3年以内に売却する
- 直近2年間に3000万円控除や10年超え所有の場合の軽減措置・譲渡所得の繰越控除といった別の特例を適用していない
- 売却金額が1億円以下である
相続で引き継いだ場合
両親の他界により土地を引き継いだ不動産を売却する際は、引き継いでから3年10ヶ月以内に売却するようにしましょう。
相続によって引き継いだ不動産を3年10ヶ月以内に売却すると特例を受け、相続税額の一部を控除できます。
ただし次のような条件を満たす必要があります。
- 相続または遺贈によって財産を取得した人物であること
- 相続により財産を取得した人に相続税が課税されていること
- 相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に譲渡している
特に3つ目の期限が設定されていることを忘れずに、相続で使わない土地がある場合はできるだけ早めに売却活動をスタートすると良いでしょう。
土地売却で必要な費用は何がある?
土地売却の際は、仲介手数料や解体費用と税金の主に3つの費用が発生します。手数料にはどのようなものがあるのか把握しておきましょう。
手数料・解体費用
仲介手数料 | 不動産会社に支払う費用 |
繰上げ返済手数料 | ローンが残っていて一括返済する際の手数料 |
測量費用 | 地積測量図を作成する時に必要な費用(必要な場合のみ) |
解体費用 | 土地を更地にするための費用 |
仲介手数料
土地や家などの不動産を不動産会社に仲介してもらい売却すると、仲介手数料がかかります。
不動産売買で発生する仲介手数料は宅地建物取引業法によって上限が定まっています。
【不動産売買の仲介手数料の上限】
売買取引額 | 仲介手数料の上限 |
200万円を以下の金額の場合 | 売買金額×5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額の場合 | 売買金額×4%+消費税 |
400万円を超えた金額の場合 | 売買金額×3%+消費税 |
仲介手数料の上限は決まっていますが、下限は決まっておらず不動産会社との交渉次第で下げることができます。
利益を多くするため、不動産会社と交渉して仲介手数料を下げすぎた場合、売却のための活動費に充てる金額が限られ売れ残る可能性もあります。

【不動産仲介手数料の早見表】
100万円 | 55,000円 |
300万円 | 154,000円 |
500万円 | 231,000円 |
1000万円 | 396,000円 |
2000万円 | 726,000円 |
繰り上げ返済手数料
住宅ローンが残っているけど不動産を売れるの?と疑問を持たれている方もいらっしゃいます。
残っているローンを繰り上げて返済する場合、金融機関によっては手数料が発生します。
多くの金融機関では繰り上げ返済をした場合でも手数料がかからないことが多いですが、かかった場合は5000円〜15,000円ほどかかります。
測量費用
土地を売却する際、義務ではありませんが「境界線が話していた時と違うじゃないか。」といったトラブルを回避するためにも測量を行います。
測量には現況測量と確定測量があり、土地売却をしようと考えている方は一般的に確定測量を依頼します。
確定測量は土地売却時に隣地のオーナーに立ち会ってもらいながら正確な土地面積を測ります。
測量費用は60万円〜80万円程かかります。
解体費用
土地に家やアパートが建設されていて、更地にして売る場合は建物の解体費用が発生します。
解体費用は建物の広さと構造によって異なるほか、立地条件も影響します。
構造 | 坪単価 |
木造 | 3〜5万円 |
鉄筋造 | 4〜6万円 |
鉄筋コンクリート造 | 6〜8万円 |
不動産売却に必要な主な税金
印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 |
抵当権抹消の登録免許税 | ローン抵当権が残っている場合に支払う税金 |
譲渡所得税 | 土地売却により利益が発生した際に支払う税金 |
【図解】土地売却の流れ
まず、土地売却の流れを紹介します。大まかなな流れは戸建てやマンションと同じですが、土地売却ならではのポイントに重点を置き紹介していきます。
【土地売却の流れ】
- 査定
- 売り出し価格を決める
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動+営業活動
- 物件の引き渡し
査定
まず、周辺相場から所有している土地が売却できそうな金額を把握するために査定を行います。
土地は一物五価と言われており、標準価格、公示価格、時価、相続税路線価、固定資産税路線価のように同じ土地価格を指していても金額が違います。
税金の計算や売買の目的によって土地につけられる金額が異なりますが、不動産会社に依頼することで「売ったらいくらになるか」という視点で査定をしてくれます。

売り出し価格を決める
不動産会社からの査定結果を受け取ると、土地をいくらで売り出すか決めます。
土地を売り出す際に適正価格で売り出すために、査定書を参考にしましょう。
土地が安すぎたらすぐに売れる可能性がありますが、本来は受け取ることができていた金額が減少してしまいます。
また、土地が相場に比べ高すぎるとなかなか売れず売れ残ることで最終的に売却金額が相場よりも下がる可能性があります。

媒介契約を結ぶ
売り出す土地の価格を決めると、不動産会社と媒介契約を結びます。
複数社の不動産会社に依頼したいのであれば一般媒介契約を結び、複数社の対応が面倒で一社に絞りたい方は専任媒介か専属専任媒介を結ぶと良いでしょう。
この媒介契約を結ぶことで本格的に売却活動がスタートします。
媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ際は、売却金額の高さだけでなく連絡が早いか、話していて違和感がないかなど自分と相性が良いかで選ぶことも大切です。
売却金額も重要ですが、その後の売却活動は半年以上かかることが多いため長期的な付き合いになります。
仮に相性の悪い不動産会社と契約を結ぶと今度のやり取りがスムーズに進まなかったりすることで精神的負担がかかります。

売却活動+営業活動
相性の良い不動産会社を見つけ媒介契約を結ぶと売却活動がスタートします。
不動産会社が土地情報の告知を始めると、土地の購入希望者から現地見学の希望が集まります。
土地の購入希望者は、過去に災害による被害を受けたのか、周辺環境はどんな感じなのか、近隣との関係はどのような感じなのか、問い合わせをされる方もいらっしゃいます。

物件の引き渡し
購入希望者が見つかり売買契約を結ぶと引渡し準備へと移ります。
土地の引渡し当日には売買代金の授受やおてい資産税などの清算を行います。
例えば、買主が売主の土地代金の手付金以外の残りの代金を売主へ支払い、固定資産税などの引渡し日を基準に日割りで精算金を支払います。

土地売却をしたら確定申告が必要?
土地売却を行い譲渡所得が発生した場合は確定申告をする必要があります。
仮に2000万円で購入した土地を3000万円で売却し、手数料等で300万円かかった場合を想定すると
3000万円ー(2000万円+300万円)=700万円となります。

確定申告で必要な書類
不動産投資で確定申告が必要になった場合、青色申告もしくは白色申告のどちらかを行うことになります。
ですが、税制上の控除を受けられる青色申告をすることが一般的です。
青色申告を行うためには次の書類を用意しておく必要があります。
- 源泉徴収票
- 支出・収入に関する書類
収入や支出に関する書類は給与に関する書類ではなく、不動産の家賃収入や支出に関する書類のことで、家賃収入書や固定資産税の納付書、保険の領収書等があげられます。
固定資産税の納税通知書や課税明細書は再発行ができますが、課税明細書や納税通知書の再発行できないため、無くさないよう注意して管理する必要があります。
余裕を持って確定申告の準備をすることが大切
確定申告は毎年期限が決まっており、定められた方法で申請しない場合や期限を超えてしまった場合は、やり直す必要や追徴課税が発生します。
確定申告をしたけど、まだ経費に含んでいない領収書やレシートを見つけ再度確定申告の書類を作成することもあります。
期限内であれば問題なく修正できますが、期限を超えてしまうと修正申告や更生申告等の特殊な手続きが必要になってしまいます。

土地売却の税金はいくらかかる?
譲渡所得税
印紙税
印紙税は土地売買の契約書を取り交わす際に発生する税金で、保有する契約書に収入印紙を添付することで納税完了となります。
印紙税は契約書に記載されている金額により納める額が異なります。下記の表は令和6年までの間に作成された場合の軽減税率が適用された場合の一覧です。
契約書の記載金額 | 印紙税の金額(軽減税率適用の場合) |
---|---|
50万円超100万円以下 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |

譲渡所得税
譲渡所得税とは、土地を売却し利益が発生した場合に支払う税金です。
個人で売買する際、譲渡所得税は保有期間によって税率が異なります。
例えば、所有していたワンルームマンションを3500万円で売却した場合を想定してみます。
所有期間が5年以内の短期譲渡では所得税と住民税合わせて39.36%かかり、11,808,000円の税金がかかります。
一方、所有期間が5年を超えた長期譲渡の場合では
区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 |
短期譲渡 | 5年以下 | 30.36% | 9% |
長期譲渡 | 5年超 | 15.315% | 5% |

土地売却で必要な書類とは
一般的に土地などの不動産の売却手続き開始から契約締結までに必要となる書類の例を紹介していきます。
手続き開始から契約締結までのタイミングと引渡し時に必要な種類でそれぞれ紹介するのでこちらを参考に売却活動を進めてください。
土地売却手続き開始から契約締結までに必要な書類
- 土地・建物登記済証明証・登記識別情報
- 印鑑証明書(3ヶ月以内に発行したもの)
- 固定資産税・都市計画税納税通知書(最新のもの)
- 測量図
- 物件状況等報告書
引渡し時に必要な書類
- 抵当権等抹消書類(抵当権解除のために必要)
- 住民票(登記状の住所と売主の現住所が違う場合に必要)
土地を高く売るためのコツ
より良い条件で土地を売却するためにできることは複数社の査定を待つだけはありません。押さえておきたいポイント・事前に準備すべきことを紹介していきます
土地を売るタイミングを見計らっておく
土地売却が得意な不動産会社に相談する
土地の状態を綺麗にしておく
自分で土地価格の相場を調べておく
土地売却の際は、より高く、スムーズに売却活動を進めていくために自分の土地の価格がどのくらいなのか調べておくと良いでしょう。
土地購入者が少ないエリアでは同じような地質・面積であっても他のエリアよりも少し低く設定する必要や値下げ交渉にも対応も慌てず進めることができます。
土地の評価額や実際の取引価格を調べることができるため、こちらのシステムを利用しながら戦略を立てられることをおすすめします。
一般財団法人 資産評価システム評価センター「全国地価マップ」
国土交通省「土地総合情報システム」
土地を売るタイミングを見計らっておく
戸建てやマンション売却のように土地価格も売却の時期などのタイミングによっても変化します。
株やFXなどと違い、不動産は売りたいと思ってもすぐに売却できないため売却希望時期から逆算して活動する必要があります。
基本的に不動産の売却活動は6ヶ月〜8ヶ月かかるとされているため、1月や2月に売却完了するには7月ごろから売却活動をスタートする必要があります。

土地売却が得意な不動産会社に相談する
土地売却を進めるにあたり、仲介を行ってくれるパートナーの不動産会社選びも大切です。
また、地元に特化した中小規模の不動産会社の方はより親身に相談に乗ってくれることもありどのように販売活動を進めてくれるかで選ぶこともポイントです。
売却活動は土地の特徴だけでなく、営業マンの実力にも影響するため営業力のある担当者を見極めるためにも直接話している時に、売却に関する質問にスラスラと答えられるかチェックしてみると良いでしょう。
営業担当者との付き合いは6ヶ月以上の長期間になることが多く、信頼できる担当者に相談するために過去の実績を確認することで不安なく売却活動を進められるはずです。
土地の状態を綺麗にしておく
購入希望者を現地案内する際に、土地に雑草やゴミが散らかっていると印象が良くないです。
土地を売るにあたり、スピーディに高価格で売るために土地のアピールポイントを整理しておくことも効果的です。
- バス便の本数の多さ
- 近くに24時間営業のスーパーやコンビニがある
- 地盤が強く液状化の心配が低い
上記のような生活のしやすさな、購入後の不安を解消するためにも土地所有者が知っている情報の詳細をまとめておくことで入居者がの心配が減ります。

土地が売れない場合はどうしたらいい?
土地を売り出した場合でも「すぐ売れる土地」と「なかなか売れない土地」が目立っています。
なかなか土地が売れないと売却金額を安くして売りに出す方もおられますが、その分手元に残る利益が減ってしまうためおすすめできません。
なかなか土地が売れない場合だと、売らずに別の方法で利益を生み出す選択肢もあります。
駐車場経営
駐車場経営は主に月極経営とコインパーキング経営の2種類があり、既に更地だと砂利敷きもしくはアスファルトで車線を引くだけで済むため最短翌日から駐車場経営をスタートできます。
コインパーキング経営は精算機や車止めで初期費用が高額になると思われがちですが、運営会社が土地を一括で借り上げてオーナーへ毎月賃料を支払う方法が多く、初期費用を0でスタートできます。
駐車場経営は個人でも行うことができますが、無断駐車や車両放置、駐車場付近での接触事故などのトラブルも考えられるため業者に依頼して行うことをおすすめします。
土地貸し
空いている土地に不動産や駐車場など何も建てずにそのまま貸し出し土地収入を受け取る「土地貸し」という方法もあります。
家やアパートを建設すると物件の建設費用がかかるため土地を売却しようと考えている方には向かないかもしれません。
土地をそのまま貸し出す場合は、新たな設備が必要にならないだけでなく維持管理費も発生しません。
土地貸しでは一般的に利用者が長期的に利用したいと考えているため、安定した収入が期待できます。
よくある質問
土地を売却するには何から始めたらいい?
土地を売却する際は、まず一括査定サイトで複数社の見積もりを出し比較することから始めましょう。その後、相場から売り出し金額を設定し不動産会社と契約するという流れになります。
土地売却にかかる平均的な期間は?
土地売却には平均して6〜8ヶ月かかります。土地などの不動産需要が高まる時期は1月や2月ごろであるため、7月ごろから売却活動をスタートすることで土地売却が成功する可能性が高まります。
個人間でも土地売却はできる?
個人間でも土地売却はできますが、不動産会社を通した売却活動が一般的です。境界線がしっかりと示されていたとしても境界線がブロック塀にまたがっている場合、ブロック塀はどちらの所有になるのかなど法的トラブルが発生する可能性があるため不動産会社を通して売却活動を進めることをおすすめします。
土地を高く売る方法は?
土地を高く売るためには、事前に自分でも相場を調べたり土地売却が得意な不動産会社に相談できるように調査することが重要になります。不動産会社を選ぶ際は会社の規模を問わず、過去の実績や担当者と話をしていき信頼できるかを判断すると良いでしょう。
土地がなかなか売れない場合はどうしたらいい?
土地が売れない主な原因に土地の問題、価格の問題、不動産会社の問題の3つがあります。その中でも価格の問題と不動産会社の問題は対処できるため、適正価格であるかもう一度見直したり、不動産会社がきちんと売却活動を行っているか活動報告書をもらうなどすると良いでしょう。
まとめ
ここまで土地売却の流れや必要な税金について紹介してきました。土地売却は建物が残っている場合や更地の場合で売却活動にかかる期間や工数、費用が異なります。
建物を残して売るのか、更地にして売るのかは同じ土地であっても売却金額に差が生じるため相場を把握して売却活動を進めることがカギになります。
スムーズかつより高く土地売却を進めるためにも、事前に土地の相場をチェックするためにも複数社の不動産会社に査定依頼し比較する必要があります。
