マイホームの建て替えによって今住んでいるマンションから別の家に住む方や、相続によって新たに手に入れた不動産を売却しようと考えている方もいるのではないでしょうか。

マンションや家、アパートといった建物は物件価格が数千万円〜数億円で売買されています。
不動産は所有者を明確化するための登記手続きや、金額が高額なことからなかなか購入希望者が現れず、売ると決めてから引渡しまで数ヶ月かかります。
マンション売却の注意点として、通常のマンション売却では当初売り出し時の価格から高く変更はできないことに注意する必要があります。
本記事ではマンション売却の注意点を売却期間や、売り出し時期、売り出し価格の設定について紹介します。
マンション売却の相場・期間
マンションの売却は正しいやり方で行わないと、スムーズに買い手が見つからなかったり自分の手元に残る金額が少なくなってしまう可能性があります。
スムーズに売れないと相場よりも安く売り出さないといけないと思ったり、所有期間やどのように手に入れたかといった入手法によって受けられる特例が異なります。

マンション売却の相場
まずは、日本の主要都市におけるマンションの売却相場を紹介します。
エリア | マンション売却の相場 |
札幌市 | 2000万円 |
仙台市 | 2200万円 |
埼玉県 | 2700万円 |
東京都 | 5300万円 |
神奈川県 | 3500万円 |
千葉県 | 2400万円 |
名古屋市 | 2400万円 |
広島県 | 2500万円 |
福岡市 | 2500万円 |
一般的にマンション売却金額は人口の多いエリアが高い傾向にあり、埼玉・東京・神奈川・千葉・大阪のような中心都市では売却金額が特に高いです。
特に東京都のマンション売却相場が高く、2番目に高い神奈川県と比較した場合でも1.5倍近いです。
マンション売却にかかる期間とは
不動産にはマンションだけでなく家やアパートといった建物や土地も含まれます。
建物や土地といった不動産を総合的な不動産売却では6ヶ月〜8月ほどかかるとされていますが、マンション売却では売却活動のスタートから引渡しまで4ヶ月前後とされています。
需要が高く人気なマンションではより短い期間で売却活動が終了する可能性が高く、人気の高いマンションの特徴には次のようなものがあげられます。
- 最寄り駅まで7分以内
- 築年数が10年以内
- 占有面積が40㎡〜70㎡
マンションの需要において、最寄り駅までの距離は特に重要視されます。
通勤・通学のしやすさから最寄り駅までの距離を重視される方が多く、最寄り駅が始発駅や複数路線の乗り換えができる駅だと早く売れる傾向にあります。
マンション売却で発生する税金
マンション売却によって発生した利益は全て手元に残るわけではなく、印紙税や登録免許税、譲渡所得税といった税金が発生します。
税金の種類 | 対象 | マンション売却で発生する税金の目安 |
---|---|---|
登録免許税 | 一律で発生する | 不動産1件につき1000円発生 |
印紙税 | 一律で発生する | 2000円〜2万円 |
譲渡所得税 | 譲渡益が発生した場合のみ必要 | 譲渡所得× 税率(20.315%~39.63%) |
マンション売却で発生する税金:登録免許税&登記費用
不動産を購入すると土地や建物の所有さを示す手続きの登記が行われます。
不動産の登記は法務局が管理している登記簿に土地や建物の所有権を記録し、公示する手続きが行われ、第三者からも不動産の所有者が誰なのかが判断できます。
不動産は購入・売却のタイミングで所有者の変更を記録するため、登記が行われ不動産の登記費用には次の費用が発生します。
登記の種類 | 登録免許税の税率 |
---|---|
土地所有権の移転登記の場合 | 評価額×2.0% |
住宅用家屋所有権保存登記の場合「新築建物」 | 評価額×0.4% |
住宅用家屋所有権移転登記の場合「中古建物」 | 評価額×2.0% |
抵当権設定登記の場合「住宅ローン借り入れ」 | 借入額(債権額)×0.4% |
マンション売却で発生する税金:印紙税
マンション売却では築年数・エリア問わず印紙税も発生します。
印紙税は不動産の媒介契約書に貼る収入印紙にかかる税金のことで、収入印紙税とも呼ばれています。印紙税の金額はマンションの売買契約金額によって異なります。
記載金額 | 印紙税額 |
50万円超〜100万円以下 | 1,000円 |
100万円超〜500万円以下 | 2,000円 |
500万円越〜1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 |
マンション売却で発生する税金:譲渡所得税
マンションを売却し、利益が発生すると譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は不動産の所有期間が5年を超えるか超えないかによって税率が倍近く異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | |
短期譲渡 | 5年以下 | 30.36% | 9% |
長期譲渡 | 5年超 | 15.315% | 5% |
所有していたマンションを2000万円で売却する場合、所有期間が5年以下の短期譲渡では譲渡所得税が合計39.36%かかるため、およそ1000万円が譲渡所得税として発生します。
ですが、同じ物件を所有期間が5年を超えたタイミングで売却すると、譲渡所得税の合計が20.315%となり、半分の500万円で済みます。

マンション売却で確定申告が必要な場合とは
マンション売却をすると必ずしも確定申告が必要になるというわけではなく、確定申告が不要な場合もあります。
マンションを売却して確定申告が不要だと思っていても本当は必要だった場合は延滞税やペナルティがかかり本来よりも多くの金額を納税する必要があることもあります。
マンションの売却によって譲渡所得が発生した場合は確定申告を行う必要があります。
不動産売却で確定申告が必要な場合は、譲渡所得が発生した場合のみで次の計算式で譲渡所得がプラスになった場合のみ確定申告が必要です。
つまり、譲渡所得は所有しているマンションを売却した時に発生した利益から不動産の購入や改良・修繕にかかった費用などの取得費や手数料を差し引いたものです。
マンション売却の流れ
マンションを売り出したことがない方だと、専門的な知識や経験がないためマンション売却をしようと思っても何から始めたらいいか分からない。といった方も多いと思います。
マンション売却の流れを把握し売却活動を始めることで、一歩ずつ次に何をしたら良いのか理解できます。

行うこと | いつ頃行うのか |
---|---|
書類の準備 | 引き渡し日の4~6カ月前 |
所有しているマンションを不動産会社に査定してもらう | 引き渡し日の4~6カ月前 |
不動産会社と媒介契約を結ぶ | 引き渡し日の3~5カ月前 |
売り出しスタート | 引き渡し日の3~5カ月前 |
売買契約を結ぶ | 引き渡し日の1~3カ月前 |
所有しているマンションの引き渡し | 引き渡し日 |
書類の準備
マンション売却は売却活動をスタートする前の準備や売却活動、売却後の利益分の納税など多数のやることがある印象があります。
マンション売却時に必要な書類を事前に用意しておくことでスムーズに売却活動のスタートが期待できます。
- 身分証明書
- 印鑑登録証明書・実印
- 登記済証または登記識別情報
- 固定資産税・都市計画税納税通知書
- マンションの管理規約・長期修繕計画書・総会議事録等
- 管理にかかる重要事項調査報告書
不動産会社から査定を受ける
書類を用意したら所有しているマンションの売却金額の見積もりを受けるため、不動産会社から査定を受けましょう。
不動産会社からの査定を受けることで、自分が所有しているマンションが大体どのくらいの金額で売れるのか、周辺のマンションやこれまでの価格推移から算出してもらえます。
マンションの売り出し金額が高すぎると売れず、安すぎると利益がその分減ってしまうため売り出し価格の設定が重要です。
不動産会社は不動産に関する専門家ですが得意不得意があり、売買契約を多数扱っている不動産会社や賃貸仲介契約を多数扱ってきた不動産会社など得意・不得意が異なります。
1社だけでは相場から大幅に離れている場合でも、相場から離れていることに気づけないため少なくとも3社からの査定を受けるようにしましょう。

不動産会社と媒介契約を結ぶ
マンションや家や土地といった不動産を売却する時、自分では買い手を見つけることが難しいため、不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。
マンションの売却希望者から依頼を受けた不動産会社は、売買・仲介に関する法律である宅地建物取引業法に従い、売買契約を進めていきます。
マンションの売却希望者が、所有している物件をどのくらいの金額でいつまでに売りたいのか、売買成約時に不動産会社が受け取る金額は幾らかといった内容を決める媒介契約を結びます。
媒介契約には次の3種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
一般媒介契約
一般媒介契約では複数の不動産会社に仲介を依頼でき、複数の不動産会社が競争して売買契約を成約させようと努力するため他の媒介契約よりも早く買い手を見つけることができる可能性があります。
ですが、エリアや築年数・設備面からあまり魅力のないマンションの場合は不動産会社からの売却活動に力を入れてもらえない可能性があり、中々売却活動が終了しない可能性もあります。

専任媒介契約
専任媒介契約では1社の不動産会社にしか仲介を依頼できませんが、契約した不動産会社が熱心に売却活動を行ってもらえる可能性が高いです。
さらに、一般媒介契約のように自分で買い手を見つけた場合に自分だけで買い手と契約をすることができます。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約では、契約できる不動産会社が一社だけであるかつ、売主自身で売却活動を行うことができません。
専属専任媒介契約では不動産会社が売りに出ている物件を検索できる、レインズへの登録が義務付けられているため、全国の不動産会社に認知してもらえる可能性があります。
専属専任媒介契約では売却活動を1社のみに任せるため、買手と売手の両方から手数料を受け取ろうと必死に売却活動を進めてもらえるでしょう。
専属専任媒介契約では1週間に1度営業活動の報告義務があるため、不動産会社から営業活動の報告が行われ具体的にどのように売却活動をしているのか、市場はどうなっているのかチェックできます。

売り出しスタート
不動産会社との媒介契約を結び終えると、マンションの売り出しがスタートします。
目的や希望に沿ったマンション売却を行うために、売り出しを始める前にマンション売却の方針や戦略をしっかりと話し合っておきましょう。
マンションの状態を写す写真によって、購入希望者がどれほど現れるかが左右します。
マンション売却ではできるだけ高く売ることで、手元に残る金額が増加しますが、売り出し価格を高く設定しすぎると売れ残る可能性があります。

売買契約を結ぶ
売り出して購入希望者が現れるとマンションの売買契約を結びます。
売買契約はマンションの引き渡し日の1〜3ヶ月に行い、最終的なマンション売却金額や引き渡し日をいつにするかを決定します。
売買契約書は不動産会社が作成してくれますが、金額や引き渡し日、仲介手数料等内容に間違いがないかを確認しましょう。
マンションの引き渡し
購入希望者と売買契約を結び、契約書で決められた日程になると物件の引き渡しを行います。
売買契約を結んだ後にすぐマンションの引き渡しにはなりませんが、鍵の受け渡しやローンの清算、登記手続きなど行わなければいけいことが多数あります。
住宅ローンが残った状態でマンション売却を行う場合は、売却金額からローンを一括返済します。

マンション売却の手数料
マンション売却を不動産会社に仲介を依頼して行った場合、担当した不動産会社へ仲介手数料を支払います。
仲介手数料は、できるだけ抑えたいと思われるかもしれませんが、仲介手数料には売却時の広告費や宣伝活動費も含まれています。
マンションの売却や土地売却といった不動産売買で発生する仲介手数料は、上限が決まっていますが、基本的に仲介手数料の上限を支払います。
マンション売却で発生する手数料の上限の計算方法
マンション売却やマンション購入といった不動産売買では、取引金額によって仲介手数料の上限が異なります。
【不動産売買の仲介手数料の上限】
売買取引額 | 仲介手数料の上限 |
200万円を以下の金額の場合 | 売買金額×5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額の場合 | 売買金額×4%+消費税 |
400万円を超えた金額の場合 | 売買金額×3%+消費税 |

マンション売却で発生する手数料の早見一覧表
マンションの売却で発生する手数料がどのくらいなのか、あらかじめ把握することで実際の手元に残る金額をシミュレーションできます。
売却取引額 | 総額仲介手数料(税込) |
100万円 | 55,000円 |
300万円 | 154,000円 |
500万円 | 231,000円 |
1000万円 | 396,000円 |
1500万円 | 561,000円 |
2000万円 | 726,000円 |
2500万円 | 891,000円 |
3000万円 | 1,056,000円 |
3500万円 | 1,221,000円 |
4000万円 | 1,386,000円 |
4500万円 | 1,551,000円 |
5000万円 | 1,716,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
マンション売却における金額の設定方法について
マンション売却は売主が自由に決めることができますが、高すぎると売れ残ってしまう可能性があること、安すぎると手元に残る金額が少なくなってしまい、売り出し金額の設定に関して悩まれる方も多いです。
マンションや家といった不動産の売買は数千万円単位の高額な交渉になるため、失敗やトラブルは避けたいです。
ここからは『はやく』×『たかく』マンションを売却させるために売り出し金額の決め方や、中々売れない場合はいつ頃から値下げを検討した方が良いのか解説していきます。
マンションの売り出し金額の決め方でも
マンションの売り出しをスタートする前に、自分で譲れない最低ラインを設定し、他の不動産会社から物件の売り出し価格を調べます。
売り出し金額は自分で決めることができますが、不動産会社からの査定を受け少したかく売るにはいくらまで引き上げて良いのだろう?と思うはずです。
売却期間が伸びてもできるだけ高くマンションを売りたい!という方であれば、不動産会社から受けた査定金額に対して5%程上乗せした金額に設定すると良いでしょう。
築年数 | 売り出し価格 | 成約価格 |
---|---|---|
5年以内 | 5200万円 | 4900万円 |
6~10年 | 4150万円 | 4200万円 |
11~15年 | 4100万円 | 4000万円 |
16~20年 | 3400万円 | 3200万円 |
21~25年 | 2100万円 | 1900万円 |
26~30年 | 1900万円 | 1700万円 |
31年~ | 2200万円 | 1700万円 |
上記の表は新規登録の中古マンションと成約金額の目安をまとめた表です。
築年数が6〜10年のマンションの人気が高く、10%近く上乗せした金額でも購入者が現れる可能性があります。

参照:公共財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2016年)」
マンションの値下げのタイミングとは
マンションの売り出しを開始してしばらくしても中々、購入希望者が現れない場合は何か問題があるのかと心配になってしまいます。
売り出してすぐに購入希望者が現れる場合は少なく、しばらくしてから購入したいという方が現れます。
不動産会社が提示する売り出し金額は3ヶ月以内に売れるだろう。と想定し提案してくださることが多く、売り出して3ヶ月が経過しても購入希望者が現れない場合は売れ残る可能性があります。

よくある質問
マンション売却時に税金はどのくらいかかりますか?
マンションの売却金額に対して20〜40%の税金が発生します。所有期間が5年を超えたタイミングでの不動産売却ではおよそ20%の倍率ですが、5年以内の売却では40%近い税率がかかります。
マンション売却をすると確定申告をする必要はありますか?
マンション売却によって譲渡所得が発生すると確定申告を行う必要があります。譲渡所得は譲渡収入金額から取得費と譲渡費用を引いた金額なので、2000万円で購入したマンションを3000万円で売却したとしても確定申告が必要にならない場合もあります。
マンション売却の流れを教えてください
マンションの売却は売却活動のスタートから引き渡しまで平均4〜6ヶ月かかり、書類の準備・査定を受ける、不動産会社と媒介契約を結ぶ、売り出しを開始、売買契約を結ぶという流れです。
マンション売却時に発生する手数料はどのくらいですか
マンションの売却時に発生する仲介手数料は、売却金額に応じた仲介手数料の上限が相場です。例えば、3000万円でマンションを売却した場合は100万円前後の税金が発生し、4000万円では140万円近くの仲介手数料が発生します。
マンション売却にかかる期間はどのくらいですか
マンション売却にかかる期間は平均して4〜6ヶ月とされています。マンションは土地の査定を受けることがほとんどないため、他の家やアパートといった売却期間に比べると短い傾向にあります。
まとめ
本記事では、マンション売却の注意点や売り出し価格の設定で気をつけること、売り出しを行うべき時期について紹介してきました。
マンション売却は平均して4〜6ヶ月間かかり、不動産売買が活発になる2月や3月に売却するためには8月や9月に売り出しをスタートさせる必要があります。
マンションの売却で発生する仲介手数料は不動産会社に支払う報酬だけでなく、売却活動で発生する宣伝広告費も含まれているため、値下げ交渉によって下げすぎると売れなくなってしまう可能性があります。
これらの注意点を抑えてマンション売却を行うことで、マンション売却で失敗する可能性を低くすることができます。
